私はおもしろそうな本を新聞に載っている新刊の紹介・書評の紙面か、図書館が毎月発行している「新着図書の紹介」で見つけることが多いです。
最近、おもしろかった新刊は「不便ですてきな江戸の町」という本。著者は江戸風俗研究家、時代小説家です。
古文書解読講座の講師とその受講者の二人が約200年前の江戸時代へタイムトラベルして1週間の江戸暮らしを体験するというストーリーです。
実際の江戸の町と庶民の暮らしはこうであったであろう、という著者の研究成果や推定が描かれています。
単なる解説本にしてしまうのではなく、小説形式でタイムトラベルで江戸へ行った二人の目を通して「当時はこうだったのか」と思わせる内容になっているのです。
たとえば、江戸前の鮨。冷蔵庫などがなかった時代ゆえたとえ江戸湾で獲れた魚とはいえネタは生ではなく、火を通すか酢でしめていた。シャリは現代のにぎり鮨の2〜3倍ほどあり、おにぎりの上に具がのっている感じで2個も食べたら腹いっぱいになった、というシーンがありました。
小ぶりで洗練された現代の鮨とは違い、オリジナルはそうだったのか、と思わせます。
話し言葉や漢字も違ってきます。
現在「おまえ」は目下に対して使っているが、元々敬称で子供が親に対し、妻が夫に対して使ったりする。目下には「てめえ」と言うのだ、というような予習を2人はタイムトラベルの前に行うのです。
漢字は当時は旧字なので、宿帳へ自分の名前を書く際には、会は會、沢は澤、国は國と書けるよう練習をしておいてよかった、という場面もありました。
その他にも江戸の風呂屋、金銭の単位と換算、時刻の表現と現在の24時制との対比など豆知識になりそうな解説もストーリーとは別ページに載っていて興味深い内容となっています。
さてタイムトラベルを題材にした小説、映画やドラマはいくつもありますが、私の中ではやはり「バックトゥザフューチャー」が一番の傑作だと思います。
もうずいぶん前の1985年のハリウッド映画なのですが、今観ても相変わらずおもしろい。
1985
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