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前回に続いて本の話になりますが、おつきあいのほどを。
今年、マンガ以外で初めて紙で読んだ本です。新聞か雑誌に載っていたので、おもしろそうなタイトルでもあり買って読んでみました。
一部を紹介します。
著者は英文小説の翻訳家ですが、翻訳者の目から見て「日本語は天才だ」と言っているのです。
そう確信したというエピソードが2つほど書かれていましたが、次のような概要です。翻訳作業の文中に出てきた事例とのこと。
早朝、太陽が昇ってきたら、まだまんまるのお月さんがいました。それを見て太陽が、こう声をかけました。
「You are a Full Moon」
ところがこれを聞いたお月さんはなぜか怒り出しました。
「You are fool, Moon」と聞き違えたからです。
この文章をそれぞれそのまま訳せば「やあ、満月さん」と「やあ、バカなお月さん」となります。
でもこれでは、原文のfullとfoolの聞き違えの部分はまったく伝わらないことになります。
著者は考えぬいて、日本語でも聞き違いでこの両者の意味に解釈できるよう翻訳したのです。
もう一つの事例。
O note the two round holes in onion.
普通に訳せば「おお、タマネギの2つのまるい穴に注目せよ」となります。
でもonionという単語にまるい穴(アルファベットのo)が2つあるという、おかしさが訳されない。
これがフランス語への翻訳ならタマネギはoignonなので訳せるが、イタリア語、スペイン語のタマネギにはoが1つで無理、ドイツ語、ロシア語にいたってはoが付かないのでまったく無理。
著者は、これをなんとか日本語に訳そうと2日、3日考え続け、ふっとひらめいた。…
この2つの事例から著者は「日本語は天才である」と確信したそうです。
著者は日本文学、古文、漢文にも明るく著書にも引き合いや事例でたくさん出てきます。
・平和なことば・日本語
・「お」の変幻自在
・シチ派 VS. ナナ派 真昼の決闘
・四十八文字の奇跡
と題された各章もたいへん興味深く、おもしろい内容でした。
特に四十八文字を一回だけ使ったいろは歌を複数作られていて、それらが紹介されているのですが、こんなに簡単に作れるのか(実際は苦心されたのかもしれませんが)、と感心しました。
ちなみに、表紙に猫が描かれているのは、著者が半猫人(半病人?)と自称するほどの愛猫家であるからだと思います。この辺のことも書かれています。
前述の2つの事例をどう日本語に訳されたか、はこの本を読んでくださいね。
私は読み終わりましたので、興味のある方にはお貸しします。ローカル情報になりますが、草津図書館にも置いてありますよ。
ばってんT村でした。
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