今年に入って紙で読んだ2冊目の本だと思います。ちょっと紹介を。
ベトナムで日本語教師をしている女性が、認知症の始まった母親をベトナムに呼び寄せていっしょに生活する様子を描いた実話です。
3年ほど前に映画にもなっています。
原作はもう10年ほど前に違う題名で出ていたものです。著者は本人でプロの小説家ではありませんので、日記風に淡々と地味に語られていて、ヒットを狙って書かれた小説のような面白さはあまりないかもしれません。
ただ、高齢の親がいる私のような世代の者には真実感があってどうなることやら、などと思いながら読んでいました。
生活されているハノイや母親を連れて旅行されたホーチミン、ニャチャン、ダラットなどでの様子も書かれていてベトナムを訪れた方なら場面が思い浮かぶかもしれません。
カトリーヌ・ドヌーブが映画「インドシナ」の撮影中に通っていたカフェに母親を連れて行く場面もありましたが、私も「ここか?」と見落としてしまいそうな何の変哲もない小さな店だったことを読んでいて思い出しました。
ベトナム語のエピソードではoi(オーイ)のところでしょうか。初めて知ったのですが、人を呼ぶときにベトナム語では「オーイ」と言うらしく日本語と似ているんです。
母親が行方不明になってしまうエピソードがあるのですが、バイクタクシーが客引きのために「オーイ」と言うのを聞いて自分が呼ばれていると思い乗ってしまったのではないか、と著者は推測していました。
映画ではハノイの大学で日本語を教えるシーンがいくつかあって、相手を「おもう、ひかれる、したう」など感情の違いを説明する場面などがありました。大学生相手だと込み入ったことも教えるんですね。
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